それぞれに「今」がある 川柳20句 [川柳]
☆ これは母と私と飼い猫『たま』を題材に作った連作です。
母・息子・猫の会話がはずむ夜
母曰く数えで齢は九十三
母はまだ食に意欲を持っている
食べたくて週に三度は魚さばく
物忘れ南京ソウル今少女
味噌はどこ朝の一刻足に猫
仏壇のうえから猫は母守る
精霊は猫のまなざし母包む
父を恋う母は忘却していない
ごった煮のまま共依存父帰る
恍惚の人を幼児と看做すまい
ゆるゆると言葉を探す 待っている
終活を始め思い出切り捨てる
従弟の名 遊んだ記憶霧の中
百聞の被爆体験ナマのまま
語られて分ちあえないもどかしさ
無縁塚被爆二世として詣る
教え子の顔と名前が蘇る
足ることを知って思いのまま生きる
極楽へ前がつかえて待たされる
2019-06-25 00:02
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