県文芸の応募作です。投稿してずいぶんになるし、締め切りからも20日以上経つので、こちらに掲げてもいいかと思いまして・・・「余生」などとはとてもではありませんが、云える齢と思っていませんので「持ち時間」としました。



     巻きついた枷をほどいて荷を下ろす


     歯車を切り換えながら歩きだす


     カタルシス覚めた目で見る半世紀


     ももしかも百歳という持ち時間

     

     一切は途上そのもの春返る


     はみだしてゆくDNAに導かれ


     螺旋階段目の前で消えてゆく


     持ち時間何を拾うか面白い


     羅針盤狂いだしても楽天家


     平等に万人の手に今がある


     若さとは今を感じる心持ち


     しなやかに惑う心が融けてゆく


     身に残る棘を抜いては捨ててゆく


     今はまだ旅の白衣に用はない


     ゆきずりの恋わが持ち時間待ったなし


     古希にまだ手が届かない深呼吸


     後期高齢まだ見ぬ世界待っている


     みな違う老いという名の風まかせ


     持ち時間フル活用のピンコロリ


     生臭い海泳いでる泳いでる



 実感は実感なのだけれども、恐らくこれは撥ねられるに違いありません。自由題とはいえ、テーマが大きすぎたのかもしれません。もっと練るべきだったかな?・・と今にして思います。